健康保険が適応される症状
顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術の前後の矯正歯科治療 および厚生労働大臣が定める以下の疾患に起因した咬合異常の矯正治療は、施設基準を満たしたクリニックでは健康保険が適用されます。
- 唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)
- ゴールデンハー(Goldenhar)症候群(鰓弓異常症を含む)
- 鎖骨・頭蓋骨異形成
- クルーゾン(Crouzon)症候群
- トリチャーコリンズ(Treacher-Collins)症候群
- ピエールロバン(PierreRobin)症候群
- ダウン(Down)症候群
- ラッセルシルバー(Russell-Silver)症候群
- ターナー(Turner)症候群
- ベックウィズ・ヴィードマン(Beckwith-Wiedemann)症候群
- 尖頭合指症
- ロンベルグ(Romberg)症候群
- 先天性ミオパチー
- 顔面半側肥大症
- エリス・ヴァン・クレベルド(Ellis-vanCreveld)症候群
- 軟骨形成不全症
- 外胚葉異形成症
- 神経線維腫症
- 基底細胞母斑症候群
- ヌーナン(Noonan)症候群
- マルファン(Marfan)症候群
- プラダーウィリー(Prader-Willi)症候群
- 顔面裂
- 筋ジストロフィー
- 大理石骨病
- 色素失調症
- 口・顔・指症候群
- メービウス症候群
- カブキ症候群
- クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
- ウィリアムズ症候群
- ビンダー症候群
- スティックラー症候群
- 小舌症
- 頭蓋骨癒合症
- 骨形成不全症
- 口笛顔貌症候群
- ルビンスタイン-ティビ症候群
- 常染色体欠失症候群
- ラーセン症候群
- 濃化異骨症
- 6歯以上の非症候性部分性無歯症
- チャージ症候群
- マーシャル症候群
- 下垂体性小人症
- ポリエックス症候群(クラインフェルター症候群)
- リング18症候群
- リンパ管腫
- 全前脳胞症
- クラインフェルター症候群
- 偽性低アルドステロン症
- ソトス症候群
- グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
- その他顎・口腔の先天異常
顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について、歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とすることができる。
※当局とは、所轄の厚生(支)局です。
外科矯正ってなんですか?
外科矯正とは
外科手術と矯正治療を併用する治療方法です。
骨格的な原因(顎の骨のズレ)で不正咬合があるかたは、矯正治療のみで咬合を改善することは困難な場合が多く、顎の骨を切って動かす「骨切り手術」を行うことにより、バランスのとれた歯列咬合を得ることができるのです。外科矯正は成長期終了後以降に行います。男性18歳以降、女性16歳以降が目安です。身長の伸びが終了していることを確認します。
一般的な歯列矯正治療は原則健康保険適用外となりますが、健康保険が適用される歯列矯正がいくつかあります。
そのひとつが「外科矯正」です。
保険適応の条件とは
外科矯正が保険適応となる条件は3つあります。
- 顎変形症(骨格的な受け口・出っ歯・開咬)などの指定の症状の診断
- 外科手術をすること
- 育成更生医療指定機関・顎口腔機能診断施設で、表側の装置で治療すること
保険が適応されないケースとは
- 指定された医療機関外での治療
- 指定症状以外の治療
- 裏側(舌側)矯正装置やアライナー装置での治療
上記の装置を希望される場合、矯正治療と口腔外科治療のすべてが自費診療となります。
外科矯正の流れ
- 術前矯正(矯正歯科)
外科手術を行う前に矯正装置をつけて歯並びを調整します。
骨切り手術後の咬み合わせを想定して歯を動かすため、一時的に咬み合わせが悪くなるように感じる可能性があります。 - 外科手術(口腔外科)
10日前後の入院、全身麻酔による手術を行います。
手術後は顎間固定といって上下の顎をワイヤーで繋ぎ止めるため、流動食となります。顔面の腫れや軽い麻痺が出ますが、徐々に回復します。 - 術後矯正(矯正歯科)
退院後、顎間ゴムという輪ゴムを装置にかけて咬み合わせ調整を行います。
新しい咬み合わせでの歯並びを調整し、正しい歯列咬合に整えます。 - 保定(矯正歯科)
矯正装置を除去し、変化抑制のためのリテーナー装置を使用します。
外科矯正の治療期間、手術のタイミングについて
歯並びや咬み合わせによって、治療期間は大きく変わります。
一般的には、術前矯正に1年半、術後矯正に1年程度かかる場合が多いです。
最近では、治療早期に顎切り手術を受けたいという要望も多く、個々に合った計画を相談させていただいております。治療早期に手術を行う場合、全体の矯正治療期間は多少長くなる傾向にあります。
外科矯正を希望されるかたは学生さんが多く、春休み、夏休み、冬休みの長期休暇中に入院手術を希望されます。その時期に入院手術を希望される場合、早めの計画が必要となります。
外科矯正の費用
矯正治療費と、入院する口腔外科での治療費が必要です。
健康保険治療のため、使用する装置や期間によって治療費が変わります。
矯正歯科での治療費と、口腔外科での治療費が必要になります。一般的には矯正歯科 30万円前後
口腔外科(手術費、入院費) 20万円前後(高額医療費の対象となる場合、手続きをすると一部が保険組合から返還されます)
となり、総額の自己負担額は40万円前後となる場合が多いです。
当院では矯正治療も外科矯正も個々の症状や生活環境に合わせてご提案させていただきます。
まずは、初診相談にお越しいただき、心配な点をお話しください。