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顔の形は、矯正歯科で治る?
結論からお伝えすると、矯正歯科で歯の位置を変える事は簡単ですが、顔の形の根本から変える事はできません。
基本的に顔の形は遺伝子によって決まります。
顔の形は骨の形により決まり、その顔の骨もある程度は遺伝子により形が決まります。受け口や出っ歯などは、アゴの骨の形が原因となっている場合があります。つまり、受け口や出っ歯などは、遺伝子が原因の場合もあると云う事です。
私達の顔は両親に似ることもあれば、隔世遺伝によって祖父母に似ることもあります。 親戚で集まると必ず出る話題で「どの子が誰に似ている」ですね。子供達は両親の面影がありますし、親戚同士は他人よりも似ています。
顔の形の決め手となっているのは目鼻立もありますが、アゴを含めた骨の形も関係しています。そのアゴの骨の形は遺伝子が決めています。
遺伝子で決まるなら、早くから矯正治療を考える必要は無いのか?
実は全てが遺伝子で決まる訳ではありません。
一卵性の双子は、大人になっても全く同じ顔でしょうか?
双子も年齢を重ねるうちに、微妙な違いが現れてきます。
生まれてからの栄養状態や、鼻づまりや口呼吸、顔の筋肉の癖や習慣などにより遺伝子とは別の原因で個人差が生まれます。つまり、基本的に顔の形のベースとなる顔の形は遺伝子で決まりますが、歯並びや噛み合わせの微妙な差は生まれてからの環境や癖により違いが加わると云う事です。
今日は最新の遺伝子研究についてお伝えし、生まれた後の環境からの影響は改めてお伝えします。
2022年12月28日のエラスムスMC(オランダ、ロッテルダムの大学医療センター)の発表によると、遺伝子同定部門の責任者であるマンフレッド カイザー博士らは、ヒトの遺伝子関連研究から顔の形に関連する新しい遺伝子を発見した事を2022年12月20日にイギリスの学術雑誌ネイチャー(Nature)に投稿しました。
【投稿の要約】これまでGWASと云う方法で遺伝子から顔の形が出来上がる仕組みを研究し、特定の5種類の遺伝子で配列の一部変わると、目や鼻の距離や位置関係、鼻の高さや幅、左右の頬骨の間の距離といった特徴が変化するのを統計的な方法で確かめていました。さらに今回の発表では、顔の特徴のうち78箇所を予測するためにGWASを改良したC-GWASと云う新しい方法で、顔の形に影響を与える可能性のある17個の新しい遺伝子がある事を新たに発見しました。
また、2022年8月23日にスペインのホセ・カレーラス研究所(IJC)の研究チームは、「他人の空似」は遺伝子でも共通点があった事を、3種類の顔認識アルゴリズムを用いて32組の「そっくり度」を分析し、その結果、16組が全3種類のアルゴリズムで「そっくり」と判定されました。「そっくり」と判定された16組の唾液から抽出したDNAを分析したところ、うち9組では3730個の遺伝子で1万9277箇所のSNPと云われる特殊な配列の遺伝子が存在し、その共通点の多くが顔や体の特徴と関連している事を確認していました。
更にParabon NanoLabsというアメリカの企業は、事件現場に残されたDNAから犯人の顔写真を作る「DNA Snapshot」というサービスを警察に提供しています。
現在の日本の歯科医療では、遺伝子から将来の顔の予測する方法は確立していませんが、ある程度将来の顔を予測する方法や、遺伝子とは関係のない歯並びや噛み合わせに影響する原因を調べる事は充分に可能です。
また、遺伝子以外の不正咬合の原因を調べる事は、16歳までは健康保険が使える様になりました。(顔の成長予測や矯正治療のシミュレーションなどは、一部の方を除き健康保険は使えず自費診療となります)
今後、日本の矯正治療で遺伝子情報を役立てる日が来るのも、そう遠くはないのかも知れませんね。
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