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コラム
綺麗な歯並びを目指す前に知っておきたいこと
見た目だけでなく機能・リスク・自分に合ったゴールを考える
前回のコラムでは綺麗な歯並びとは何か、そして矯正歯科でいう「正常咬合」についてお話ししました。
今回は、歯並びを整えることで期待できること、矯正治療の注意点、そして「正常咬合でなければ必ず矯正治療が必要なのか」についてお話しします。
矯正治療を考える時、多くの方がまず気にするのは見た目です。
もちろん、見た目は大切です。
しかし、矯正治療は医療行為です。
歯を動かす以上、治療によって得られる変化だけでなく、注意すべき点もあります。
大切なのは、単に「歯を綺麗に並べること」ではありません。
自分の歯並びや噛み合わせの状態を知り、自分に合った治療のゴールを考えることです。
こんな方におすすめの記事です
- 矯正治療を受けるか迷っている方
- 歯並びを整えるメリットを知りたい方
- 矯正治療の注意点も知っておきたい方
- 自分に合った歯並びとは何かを考えたい方
- 矯正相談で何を聞けばいいか知りたい方
綺麗な歯並びを目指すメリットは?
結論:見た目だけでなく、噛む機能や清掃性の改善につながる可能性があります
矯正治療の目的は、単に見た目を整えることだけではありません。
歯並びを整えることで期待できること
- 見た目の印象が自然になりやすい
歯並びが整うと、笑った時の口元の印象が変わります。
人と話す時、写真を撮る時、笑顔になった時。
歯並びは、思っている以上に口元の印象に関わります。
ただし、顔立ちや骨格、唇の厚み、歯の形によって見え方は異なります。
そのため、「誰でも同じ笑顔になる」というものではありません。 - 歯磨きがしやすくなる可能性がある
歯が重なっている部分は、歯ブラシが届きにくくなります。
歯並びが整うことで、清掃しやすくなる場合があります。
ただし、矯正治療をすれば虫歯や歯周病にならない、という意味ではありません。
治療後も毎日の歯磨きと定期的な管理は必要です。 - 噛み合わせのバランスを整えやすい
上下の歯が適切に噛み合うことで、噛む力が分散されやすくなります。
特定の歯だけに強い負担がかかっている場合には、噛み合わせの改善が検討されることがあります。
歯は一本一本が独立しているように見えますが、実際には上下左右の歯が支え合いながら働いています。
そのため、歯並びを考える時には、全体のバランスを見る必要があります。 - 発音や口の閉じやすさに関係することがある
前歯の位置や開咬の有無は、発音や口の閉じやすさに関係する場合があります。
特に、前歯が噛み合わない状態では、舌の癖や発音の問題が関係していることもあります。
口を閉じた時に唇に強く力が入る、いつも口が開きやすい、舌が前に出やすい。
このような状態がある場合は、歯並びだけでなく口腔機能も含めて確認することがあります。
矯正治療にデメリットや注意点はある?
結論:あります。だからこそ、治療前の診断と説明が重要です
矯正治療は医療行為です。
メリットだけでなく、注意点もあります。
歯を動かす以上、身体には変化が起こります。
その変化には、良い面だけでなく、注意すべき面もあります。
矯正治療で知っておきたいこと
- 治療期間がかかる
矯正治療は、歯を少しずつ動かす治療です。
数日で完了するものではありません。
治療期間は、歯並びの状態、骨格、年齢、使用する装置、通院状況などによって異なります。 - 装置による違和感や痛みが出ることがある
装置をつけた直後や調整後に、歯が浮くような感覚や噛んだ時の痛みが出ることがあります。
多くの場合は一時的ですが、感じ方には個人差があります。 - 虫歯・歯周病の管理が必要
矯正装置が入ると、歯磨きが難しくなることがあります。
特にワイヤー矯正では、装置の周囲に汚れが残りやすくなります。
矯正治療中は、治療そのものだけでなく、口腔衛生管理も重要です。 - 歯肉退縮や歯根吸収などのリスクがある
矯正治療では、歯を骨の中で移動させます。
そのため、歯肉が下がる、歯根が短くなるなどの変化が起こる可能性があります。
リスクの程度は、歯や骨の状態、移動量、治療期間などによって異なります。 - 後戻りの可能性がある
矯正治療後、歯は元の位置に戻ろうとすることがあります。
そのため、保定装置、いわゆるリテーナーの使用が重要です。
「矯正が終わったら完全に何もしなくてよい」というわけではありません。
「綺麗な歯並び」と「自分に合った歯並び」は同じ?
結論:必ずしも同じではありません
ここは非常に大切です。
患者様が思う「綺麗な歯並び」と、矯正歯科医が診断する「その人にとって適切な歯並び」は、必ずしも一致しません。
例えば、前歯をもっと引っ込めたいと思っていても、歯を動かせる範囲には限界があります。
骨格、歯根の位置、歯槽骨の厚み、唇のバランス、横顔、噛み合わせ、歯周組織の状態。
これらを無視して、見た目だけを優先することはできません。
矯正治療で大切なのは、理想の形を押しつけることではありません。
その方の口腔内の状態、顔立ち、年齢、生活背景、治療への希望を踏まえたうえで、医学的に無理のないゴールを設定することです。
本当に大切なのは、見た目の美しさだけを追いかけることではなく、その人にとって長く安定しやすい歯並びと噛み合わせを考えることです。
正常咬合でなければ、必ず矯正治療が必要?
結論:正常咬合から外れているからといって、必ず矯正治療が必要とは限りません
正常咬合は、良い噛み合わせを考えるうえでの大切な基準です。
しかし、すべての人が教科書通りの正常咬合でなければならない、という意味ではありません。
人の顔立ちや骨格、歯の大きさ、顎の大きさには個人差があります。
多少のずれがあっても、日常生活で大きな支障がない場合もあります。
一方で、見た目には大きな問題がなさそうでも、奥歯の噛み合わせや顎のずれ、前歯の噛み合わせに問題がある場合もあります。
重要なのは、
- 正常咬合と比べて、どこがどの程度違うのか
- その違いが、見た目や機能にどの程度関係しているのか
- 治療によって改善を目指す意義があるのか
を確認することです。
正常咬合は、患者さんを不安にさせるための言葉ではありません。
今の歯並びや噛み合わせを理解するための基準です。
矯正相談では何を聞けばいい?
結論:見た目の希望だけでなく、噛み合わせの診断についても確認してください
矯正相談では、次のような質問をしてみるといいでしょう。
- 私の歯並びは正常咬合に近いですか?
- 前歯だけでなく奥歯の噛み合わせはどうですか?
- 出っ歯、受け口、開咬、過蓋咬合などの問題はありますか?
- 治療期間の目安はどのくらいですか?
- 使用できる装置にはどのような選択肢がありますか?
- 治療中のリスクや副作用は何ですか?
- 治療後の後戻り対策はどうしますか?
- 費用の総額と追加費用の有無はどうなりますか?
矯正治療は、患者さんと医療者が同じゴールを共有することが大切です。
「なんとなく綺麗にしたい」だけではなく、
「どこを、なぜ、どのように改善するのか」
を確認してから治療を検討することをおすすめします。
綺麗な歯並びを考える時は、見た目と機能の両方を見ることが大切
綺麗な歯並びとは、単に前歯がまっすぐ並んでいる状態ではありません。
矯正歯科で考える良い歯並びとは、見た目の美しさと、上下の歯が正しく噛み合う機能性の両方が整った状態です。
ただし、正常咬合から外れているからといって、必ず矯正治療が必要というわけではありません。
大切なのは、今の歯並びや噛み合わせを正しく知ることです。
あなたが思う「綺麗な歯並び」は、正常咬合に近い状態でしょうか。
それとも、見た目の印象としての綺麗さでしょうか。
その違いを知ることが、矯正治療を考える第一歩になります。
歯並びや噛み合わせについて疑問がある方は、まずは現在の状態を確認するところから始めてみてください。
監修者

| 院長 | 神崎 寛人 |
|---|---|
| 経歴 | 東京歯科大学卒業 歯科医師国家資格取得
東京歯科大学矯正学講座 日本矯正歯科学会認定医 取得 こうざき歯列矯正クリニック開業 医療法人社団OMS 理事長就任 日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医) 取得 ポーラスター矯正歯科センター北 名称変更 日本歯科専門医機構認定矯正歯科専門医 |
| 資格 | 歯科医師 |
| 所属歯科学会 | 日本矯正歯科学会 |
主なリスクと副作用
痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯髄壊死・歯肉退縮
その他のリスク・副作用等
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
【矯正治療により生じるリスクや副作用について】
1.矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
2.歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
3.矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者の協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に大きく影響します。
4.治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、更に一般歯科医による定期的な診察が大切です。また、歯が動くと隠れていた虫歯があることが判明することもあります。
5.歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
6.極まれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
7.極まれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
8.矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9.治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
10.治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
11.歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
12.矯正歯科装置を誤って飲み込む可能性があります。
13.矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14.動的治療が終了し矯正装置が外れた後に、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
15.動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置(リテーナー)を指示通り使用し、歯の位置の変化を抑制しないと、歯並びや咬み合せの「後戻り」や「新たな変化」が生じます。
16.アゴの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
17.治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことはできません。
19.治療の効果が予測と一致しているか確認するため、定期的に診察や検査を行う必要があり、合併症・副作用が発生した場合は、治療方法や使用する矯正装置を変更する場合があります。
【矯正治療と併用する治療方法に関して】
1.不正咬合の改善や将来的に起こりうる口腔内の変化を減少させる等の理由で、歯の抜歯や粘膜、骨格に対する口腔外科手術が必要となる場合があります。
2.矯正治療の過程において、歯の移動効果の容易化や歯の連続性の維持、その他の治療効果の発揮のため、一定期間に全部又は一部の歯に矯正治療用アタッチメントを接着する必要がある場合があります。
3.矯正治療の過程において、歯の移動のための空隙創出のため、歯の抜歯や切削が必要となる場合があります。
4.矯正治療において、歯の形態修正が必要となる場合があります。
5.歯の移動により咬合の変化が生じ、顎の関節に対する保護や治療が必要となる場合があります。
6.治療計画の変更や中断を抑制するために、矯正治療前にう蝕や歯周病に対する治療が必要となる場合があります。
7.上記により、治療計画の延期や休止、中断が必要となる場合があります。
【矯正装置の装着により生じる一般的な副効果に関して】
1.矯正装置の装着後及び着脱動作中、歯肉、舌、頬及び唇に、擦り傷又は痛みが生じる可能性があります。
2.矯正治療開始直後及び途中に歯の痛みを経験します。
3.矯正装置の装着により、患者の発語および発音に影響を与える可能性があります。
4.矯正装置の使用により、一時的に唾液分泌の増加若しくは口の渇きを経験する可能性があります。
5.治療中に噛み合わせが変化し、患者によっては一時的な不快感を感じる可能性があります。
6.矯正装置の使用により、頭部や首の関節及び筋肉、耳それぞれにおいて障害(運動、感覚、疼痛)が生じる可能性があります。
7.治療中、歯根長の短縮が生じる可能性があります。
8.治療中、歯の変色及び着色が生じる可能性があります。
9.装着する矯正装置等を、患者が誤飲又は吸引してしまう可能性があります。
10.矯正装置の装着が、歯、歯槽骨又は歯肉及び歯髄の健康状態に影響を与える可能性があります。
11.矯正装置を除去後、想定外の位置に歯が移動する可能性があります。
12.矯正装置により自浄性が損なわれるため、虫歯や歯周病予防を患者自身が積極的に行う必要があります。
13.矯正装置が破損する確率を下げるため、食事の内容に制限があります。
14.無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、矯正装置が破損する可能性が高くなり、矯正装置の破損による痛みや不快感、計画外の治療が必要となる可能性が高まります。
【患者の素因又は治療歴に由来する事柄に関して】
1.特殊な形状の歯が存在する場合、無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、治療期間の長期化又は治療結果に悪影響を与える可能性があります。
2.重度の不正咬合および歯列不正がある場合、矯正装置等の破損の可能性が高くなります。
3.複雑な咬合や歯列、およびそれらを含む骨格性の不正咬合の治療は、複数の治療法や矯正装置の付属品を併用する必要があります。
4.重度の歯列不正がある、患者自身での矯正装置の着脱が著しく困難となる場合があります。
5.過去の歯の疾患の治療により治療を受けた歯に関しては、再治療や追加治療、対象部位の周辺を含む範囲への歯科治療が必要となる可能性があります。
6.歯冠が短い場合は、歯の移動に制約が出ることがあり、歯肉への治療により歯を長くする事が必要となる場合があります。
7.矯正治療中に歯肉の位置が変わる事があり、それが事前に予測できない場合があります。
8患者の既存の歯科修復物(補綴物)に対し、交換や形態修正が必要となる可能性があります。
9.使用する矯正装置や器材により、アレルギー症状が生じる場合があります。
10.患者本人の生活習慣や健康状態、医薬品の服用や喫煙や飲酒等の嗜好品が治療効果に影響を与える可能性があります。
11.患者本人の成長や遺伝的傾向により、矯正治療開始前に予測できない変化が治療計画に影響し、計画の変更が必要となる可能性があります。
【矯正治療計画および装置装着・使用方法に関して】
1.患者本人や家族が、治療計画に関して歯科医師およびその他の職員の指示に従わない場合や、矯正装置の使用方法の指示に従わない場合は、治療期間の著しい長期化又は治療結果に悪影響を与え、歯科医師の判断により治療を中止する場合があります。
2.矯正治療において、歯の移動速度および移動範囲に限界があり、事前に予測が困難な場合があります。
3.適正な着脱方法を行わなかった場合、矯正装置が破損変形し再製作が必要となる場合があります。
4.患者本人が、計画的に通院しない場合や計画外の事態が生じた事を連絡しない場合、治療期間の著しい長期化または治療結果に悪影響を与える場合があります。
当院における矯正治療は、検査結果から得られた内容を歯科医学的根拠に基づき立案し、歯の移動計画から適切に選択した矯正装置を用いて行います。使用する矯正装置は、主治医が効果や安全性などについての歯科医学的判断を行い、医院内外で作製された矯正治療器具を治療に使用します。患者本人に使用する機材のほとんどは、日本国内の法律で承認・認証を受けた機材を使用しますが、一部の歯科用機材に関しては海外にて製造および加工されたものも含めて使用し、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならず、歯科医師が責任を負い救済を行うものとします。

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