歯列矯正中にMRIを撮影しても大丈夫?矯正装置は外さないとダメ?

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歯列矯正中にMRIを撮影しても大丈夫?矯正装置は外さないとダメ?

ポーラスター矯正歯科センター北、日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門歯科医の神崎です。

「歯列矯正中にMRIを撮影することになったのですが大丈夫ですか?」
「矯正装置を外さないとMRIの検査は受けられませんか?」
当院で矯正治療中の患者様からこのようなお問い合わせをいただくことがあります。

矯正装置や保定装置の中には金属を使ったものもあるため、MRIの検査を受けても大丈夫なのか、安全面や歯の矯正への影響について不安に思う方もいらっしゃると思います。
この記事では矯正治療中にMRIの検査を受ける場合、矯正装置を外さなければならないのか、外した場合は追加の料金が発生するのかについてご紹介します。

この記事はこんな方におすすめです。

  • 矯正治療中にMRIを撮影しても大丈夫か知りたい
  • MRIを撮影するためには、矯正装置を外さなきゃダメなのか知りたい
  • MRI検査のために矯正装置を外したら、追加料金がかかるのか知りたい
  • 矯正治療中にMRIを撮ることになったらどうすればいいのか教えてほしい

MRIの撮影で金属が危険な理由とそのリスク

MRIが磁石を利用した機械であることは一般的に知られているため、多くの人がMRIの検査では金属は危険というイメージを持っていると思います。
こういった背景もあり、金属製の矯正装置や保定装置を使用している患者様の中にはMRI検査に対して不安を感じる方もいらっしゃるのでしょう。

MRIの撮影で金属が危険な理由と、金属を身につけたままMRI検査を受けた場合のリスクにはどんなものがあるのかをご紹介します。

MRIはとても強力な磁石を使った検査

MRIとは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)のことで、磁石の力を利用して体の中の写真を撮る方法です。
MRIに使われている磁石にはいくつか種類がありますが、現在主流となっているMRIでは、部屋に持ち込んだハサミや酸素ボンベが離れた位置から引き寄せられて、事故につながったケースもあるほど強力な磁石を使っています。

MRIはそれほど強力な磁石と電磁波を利用して体内の水分に含まれる水素原子の反応を調べることで、臓器などによる反応の違いを体の断面画像として撮影することができます。

金属をつけたままMRI検査を受ける3つのリスク

金属を身につけたまま強力な磁石を使っているMRIの検査を受けた場合、起こり得る3つのリスクについてご紹介します。

    • 機械の故障、事故やケガにつながる

MRIは強力な磁石を使っているため、金属を身につけたままMRIの検査室に入ってしまうと金属がMRに引きつけられてしまいます。
髪についているヘアピンやポケットに入っているライターなど、小さな金属であってもMR装置に近づくと勢いよく機械に引き寄せられます。
MR装置に金属が張り付いてしまうと、磁場が強力なため簡単には引き剥がせない場合があります。
最悪の場合、MRIの磁場をなくすための処理を行う必要があったり、機械の故障につながることもあります。

また、金属がMRIに引き寄せられる際に飛んできた金属が身体に当たってケガをする可能性もあります。
小さい金属であれば大丈夫だろうと思うかもしれませんが、MRI検査を受ける際には撮影を担当する技師の指示に従って身につけている金属を外すようにしてください。

    • 正確な診断ができなくなる可能性がある

MRIを撮影する際に金属をつけたままにしてしまうリスクとして、正確な診断ができなくなる可能性があります。
MRI検査を受けることになる理由には、診察をした医師がMRI撮影の必要性を感じているからという場合が多いと思います。

金属をつけたままMRIの撮影を行ってしまうと、撮影する部位と金属の位置によっては金属の影響で撮った画像が歪んでしまうことがあります。
画像に歪みが生じてしまった場合、歪みが原因で正確な診断ができなくなってしまう可能性もあります。

    • やけどを起こすことがある

MRIは強力な磁場の中に入り、身体に電磁波を当てて撮影する機械です。
そのため、金属を身につけた状態でMRIを撮影すると電磁波の影響で金属に電流が流れます。電流が流れると金属が徐々に加熱され、それが原因でやけどを起こしてしまうこともあります。

全ての金属で起こり得ることではありませんが、外すことができる金属は検査の前に外すことをおすすめします。

矯正装置をつけたままMRIは撮影できるの?外した場合の追加費用は?

MRIの撮影で金属を身につけている危険性とそのリスクについてご紹介しましたが、歯の矯正装置や保定装置はつけたままでも撮影できるのでしょうか。
結論から言いますと、使用されている材質や矯正装置の種類によっては外さずにMRIの撮影を行っても問題ないものもあります。

ここでは外さなくてもMRIの検査に影響の少ない矯正装置の材質や種類について、矯正装置を外した場合の追加費用についてご紹介します。

外さなくてもMRIの撮影ができる矯正装置の材質

MRIの撮影をする際、矯正装置、保定装置の材質によっては外さなくても問題ないものがあります。
マウスピース型に使用されるプラスチック・ポリマー類などの非金属性の矯正装置、チタンのような磁石に引きつけられづらい金属(弱磁性・非磁性)はMRIの撮影を行っても問題ないとされています。

  • ポリカーボネート樹脂
  • ポリウレタン
  • アクリル樹脂
  • ファイバー強化樹脂
  • セラミック
  • ジルコニア
  • チタン/医療用チタン合金
  • チタンモリブデン合金(TMA)
  • ニッケルチタン銅合金
  • オーステナイト系ステンレス鋼

MRI検査で影響の少ないとされる矯正装置の種類

固定されている矯正装置や保定装置をつけたままMRI検査を受けた場合に、装置が外れたり曲がったりしないか心配される患者様が多い印象を受けます。
使用されている材質にもよりますが、歯にしっかりと固定されている矯正装置、保定装置に関しては、装着したままMRIを撮影しても問題がないとされています。

問題がないとされてはいますが、検査の最中や検査後に違和感を覚えた場合には検査を担当する技師や矯正を行なっている歯科医院に相談することをおすすめします。

主な固定式の矯正装置

  • マルチブラケット装置
  • リンガルブラケット装置
  • パラタルアーチ/トランスパラタルアーチ
  • ナンスホールディングアーチ
  • ローワーリンガルアーチ

固定式の保定装置

  • フィックスリテーナー
MRI検査のために矯正装置を外したら追加費用は発生する?

影響の少ない材質や固定された装置の場合でもMRIで検査する部位などによっては矯正装置、保定装置を外さなければならないこともあります。

当院ではMRIの検査のために矯正装置や保定装置を一度外す場合、外す際とつけ直す際のどちらも費用がかかります。
どの程度の費用が発生するかについては使用している矯正装置や保定装置によっても異なるため、お問い合わせください。

当院の矯正治療で使用する装置

MRIの撮影などで担当の医師から矯正装置や保定装置を外すように指示された場合は、一度当院にお問い合わせください。

以下に当院で使用している主な矯正装置と保定装置についてまとめましたので、参考にしてください。

矯正装置

当院で使用している矯正装置には固定式で自分では取り外せないものと、可撤式で自分で取り外せるものがあります。

固定式装置

自分では取り外しができないタイプの矯正装置にはマルチブラケット装置があります。
ブラケットとブラケットにつけるワイヤーに次の素材が使用されています。

    • マルチブラケット:ステンレス鋼/ポリカーボネート樹脂

マルチブラケット装置に使用するワイヤーの素材

  • ナイタイワイヤー:ニッケル、チタニウム、クロム
  • カッパーナイタイワイヤー:ニッケルチタン銅合金
  • ステンレススチールワイヤー:ステンレス鋼(鉄、ニッケル、クロム)
  • TMAワイヤー:チタンモリブデン合金
  • ゴムメタルワイヤー:チタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル
可撤式装置

自分で取り外しができる矯正装置は主にマウスピースタイプのものを使用しています。

  • マウスピース型(アライナー):ポリウレタン合成樹脂
  • プレオルソ:ポリウレタン素材
保定装置(リテーナー)

保定装置は矯正治療後に歯が元の位置に戻らないようにするための装置です。
矯正装置と同様に自分で取り外せるタイプのものと自分では取り外せないタイプのものがあります。

固定式装置

当院では固定式の保定装置としてフィックスリテーナーを使用しています。

  • フィックスリテーナー:ステンレス鋼
可撤式装置

自分で取り外しができる保定装置にはマウスピースタイプのものと歯に装着するタイプのものがあります。

  • クリアリテーナー(マウスピースタイプ):プラスチック
  • ベッグリテーナー:ステンレス鋼

まとめ:MRIを撮影するために矯正装置を外す必要があるか医師に確認する

  • 矯正装置を外す必要があるか、MRI検査を受ける医療機関の医師に相談する。
  • MRIを撮影する場所によっては外さなくていい場合もある。
  • 矯正装置のつけ外しには追加で費用がかかることが多い。

身体の不調を調べたり、人間ドッグを受けたりする場合、歯の矯正治療中でもMRIを撮影することがあると思います。
その際、使用している矯正装置や保定装置はつけたままで大丈夫なのか、外さないといけないのか不安に感じる方も多いでしょう。

装置に使用されている素材や矯正装置・保定装置の種類によってはそのままMRIを撮影しても問題がないこともありますが、MRIを撮影する部位などによってはより正確な診断を行うために影響の少ない矯正装置でも外した方がいい場合もあります。

そのためご自身では判断せずに、MRIの検査を受ける医療機関の医師に相談することをおすすめします。

また、MRI検査のために矯正装置や保定装置を外す場合、外す際とつけ直す際に料金がかかることが多いです。
当院でも別途費用をいただいていますので、詳しくはお問い合わせください。

監修者

院長 神崎 寛人
経歴 東京歯科大学卒業 歯科医師国家資格取得

東京歯科大学矯正学講座

日本矯正歯科学会認定医 取得

こうざき歯列矯正クリニック開業

医療法人社団OMS 理事長就任

日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医) 取得

ポーラスター矯正歯科センター北 名称変更

日本歯科専門医機構認定矯正歯科専門医
資格 歯科医師
所属歯科学会 日本矯正歯科学会
主なリスクと副作用

痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯髄壊死・歯肉退縮

その他のリスク・副作用等

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について

【矯正治療により生じるリスクや副作用について】
1.矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
2.歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
3.矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者の協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に大きく影響します。
4.治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、更に一般歯科医による定期的な診察が大切です。また、歯が動くと隠れていた虫歯があることが判明することもあります。
5.歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
6.極まれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
7.極まれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
8.矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9.治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
10.治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
11.歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
12.矯正歯科装置を誤って飲み込む可能性があります。
13.矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14.動的治療が終了し矯正装置が外れた後に、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
15.動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置(リテーナー)を指示通り使用し、歯の位置の変化を抑制しないと、歯並びや咬み合せの「後戻り」や「新たな変化」が生じます。
16.アゴの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
17.治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことはできません。
19.治療の効果が予測と一致しているか確認するため、定期的に診察や検査を行う必要があり、合併症・副作用が発生した場合は、治療方法や使用する矯正装置を変更する場合があります。
【矯正治療と併用する治療方法に関して】
1.不正咬合の改善や将来的に起こりうる口腔内の変化を減少させる等の理由で、歯の抜歯や粘膜、骨格に対する口腔外科手術が必要となる場合があります。
2.矯正治療の過程において、歯の移動効果の容易化や歯の連続性の維持、その他の治療効果の発揮のため、一定期間に全部又は一部の歯に矯正治療用アタッチメントを接着する必要がある場合があります。
3.矯正治療の過程において、歯の移動のための空隙創出のため、歯の抜歯や切削が必要となる場合があります。
4.矯正治療において、歯の形態修正が必要となる場合があります。
5.歯の移動により咬合の変化が生じ、顎の関節に対する保護や治療が必要となる場合があります。
6.治療計画の変更や中断を抑制するために、矯正治療前にう蝕や歯周病に対する治療が必要となる場合があります。
7.上記により、治療計画の延期や休止、中断が必要となる場合があります。
【矯正装置の装着により生じる一般的な副効果に関して】
1.矯正装置の装着後及び着脱動作中、歯肉、舌、頬及び唇に、擦り傷又は痛みが生じる可能性があります。
2.矯正治療開始直後及び途中に歯の痛みを経験します。
3.矯正装置の装着により、患者の発語および発音に影響を与える可能性があります。
4.矯正装置の使用により、一時的に唾液分泌の増加若しくは口の渇きを経験する可能性があります。
5.治療中に噛み合わせが変化し、患者によっては一時的な不快感を感じる可能性があります。
6.矯正装置の使用により、頭部や首の関節及び筋肉、耳それぞれにおいて障害(運動、感覚、疼痛)が生じる可能性があります。
7.治療中、歯根長の短縮が生じる可能性があります。
8.治療中、歯の変色及び着色が生じる可能性があります。
9.装着する矯正装置等を、患者が誤飲又は吸引してしまう可能性があります。
10.矯正装置の装着が、歯、歯槽骨又は歯肉及び歯髄の健康状態に影響を与える可能性があります。
11.矯正装置を除去後、想定外の位置に歯が移動する可能性があります。
12.矯正装置により自浄性が損なわれるため、虫歯や歯周病予防を患者自身が積極的に行う必要があります。
13.矯正装置が破損する確率を下げるため、食事の内容に制限があります。
14.無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、矯正装置が破損する可能性が高くなり、矯正装置の破損による痛みや不快感、計画外の治療が必要となる可能性が高まります。
【患者の素因又は治療歴に由来する事柄に関して】
1.特殊な形状の歯が存在する場合、無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、治療期間の長期化又は治療結果に悪影響を与える可能性があります。
2.重度の不正咬合および歯列不正がある場合、矯正装置等の破損の可能性が高くなります。
3.複雑な咬合や歯列、およびそれらを含む骨格性の不正咬合の治療は、複数の治療法や矯正装置の付属品を併用する必要があります。
4.重度の歯列不正がある、患者自身での矯正装置の着脱が著しく困難となる場合があります。
5.過去の歯の疾患の治療により治療を受けた歯に関しては、再治療や追加治療、対象部位の周辺を含む範囲への歯科治療が必要となる可能性があります。
6.歯冠が短い場合は、歯の移動に制約が出ることがあり、歯肉への治療により歯を長くする事が必要となる場合があります。
7.矯正治療中に歯肉の位置が変わる事があり、それが事前に予測できない場合があります。
8患者の既存の歯科修復物(補綴物)に対し、交換や形態修正が必要となる可能性があります。
9.使用する矯正装置や器材により、アレルギー症状が生じる場合があります。
10.患者本人の生活習慣や健康状態、医薬品の服用や喫煙や飲酒等の嗜好品が治療効果に影響を与える可能性があります。
11.患者本人の成長や遺伝的傾向により、矯正治療開始前に予測できない変化が治療計画に影響し、計画の変更が必要となる可能性があります。
【矯正治療計画および装置装着・使用方法に関して】
1.患者本人や家族が、治療計画に関して歯科医師およびその他の職員の指示に従わない場合や、矯正装置の使用方法の指示に従わない場合は、治療期間の著しい長期化又は治療結果に悪影響を与え、歯科医師の判断により治療を中止する場合があります。
2.矯正治療において、歯の移動速度および移動範囲に限界があり、事前に予測が困難な場合があります。
3.適正な着脱方法を行わなかった場合、矯正装置が破損変形し再製作が必要となる場合があります。
4.患者本人が、計画的に通院しない場合や計画外の事態が生じた事を連絡しない場合、治療期間の著しい長期化または治療結果に悪影響を与える場合があります。

当院における矯正治療は、検査結果から得られた内容を歯科医学的根拠に基づき立案し、歯の移動計画から適切に選択した矯正装置を用いて行います。使用する矯正装置は、主治医が効果や安全性などについての歯科医学的判断を行い、医院内外で作製された矯正治療器具を治療に使用します。患者本人に使用する機材のほとんどは、日本国内の法律で承認・認証を受けた機材を使用しますが、一部の歯科用機材に関しては海外にて製造および加工されたものも含めて使用し、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならず、歯科医師が責任を負い救済を行うものとします。

ポーラスター矯正歯科センター北(こうざき歯列矯正クリニック)横浜

〒224-0003
横浜市都筑区中川中央1-29-2 グランドメゾン・センター北 2F
(センター北駅 出口2より 徒歩1分)
平日 10:30~12:00/15:00~19:00 
土日 10:00~13:00/14:30~18:00
休診日:木曜・祝日・日曜(特別診療日あり)・月曜(不定休)

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